スタッフブログ 2026.02.16

先日、建築士仲間とともに、三重県桑名市を訪れました。
旧東海道42番目の宿場町、七里の渡しの発着地。
かつて陸と海が交わり、人と物、文化が行き交った交通の要衝です。
町を歩きながら感じたのは、
ここでは「建物」だけでなく、「町そのもの」が時間を語っているということでした。

最初に足を運んだのは、六華苑。
洋館と和館が並び立つ風景には、
近代化へと向かう時代の息遣いが、今も静かに残っています。

意匠はそのままに、
耐震補強や設備更新が施された空間。
守るべきものと、更新すべきものを見極める、
その繊細なバランス感覚に、思わず足を止めました。
「残す」という行為は、
決して過去に固執することではなく、
未来へ手渡すための選択なのだと、改めて感じます。
次に訪れたのは、諸戸庭園。
揖斐川の流れを取り込み、
自然と建築、庭がひとつの構成として編まれています。
庭園を読み解きながら目に入るのは、
伝統工法を生かしつつ、
無理のない形で手を入れてきた痕跡。
過剰に整えず、
しかし放置もしない。
時間と対話しながら、建物に寄り添うような改修の姿勢に、
設計者として深く頷かされました。
最後に訪れたのは、船津屋。
水辺に向かって開く料亭建築の再生事例です。
ここで感じたのは、
「保存」と「活用」は、決して対立するものではないという現実。
使われ続けることでこそ、建物は生き続ける。
そのための設計とは何かを、静かに問いかけられているようでした。
一日を終えて振り返ると、
特別な建築を見た、というよりも、
町全体から多くのことを学ばせてもらった、
そんな感覚が残っています。
歴史をどう受け取り、
どう次へつなぐのか。
設計者としての姿勢が、
町のあちこちに滲んでいました。
図面の前では見えないものを、
実際に歩き、感じ、考える。
こうした時間こそが、
私たちの設計の奥行きをつくっているのだと思います。
また、現場へ。
また、町へ。
学びは、いつも外にあります。






